一般社団法人 日本顕微鏡歯科学会

この度の開催で、日本顕微鏡歯科学会 学術大会・総会は20回目を迎えます。
20回大会として、例年2日間の開催でしたが、金曜日午後も含む2.5日間の開催となります。20年前は、顕微鏡を所有し拡大像を見られるだけで『最先端だ！』と喜んでいたことが思い出されます。

現在では、グローバルスタンダードにおいて、顕微鏡は治療の必須アイテムであり、顕微鏡下の画像をどのように解釈し、顕微鏡を使って長期予後を安定させるか、が重要となっております。また、治療の際にはここ20年で蓄積してきた顕微鏡治療に関するエビデンスに基づいたものであることが要求されます。
翻ってわが国の歯科の現状は、あまり芳しくありません。
日本独特の制度のために、『独自の方向に進んでいる』ともいえます。
ところで、今回の顕微鏡歯科学会の大会スローガンは、『Focusing on the future グローバルスタンダードの最前線へ』です。日本の先生方の勉強熱心さや患者さんに対して真摯に向き合おうとする姿勢はトップクラスだと思います。現在進行形で世界の学会で活躍されている先生方の講演やハンズオンコースを直に受けていただくことで、もう一度日本の歯科が世界のトップクラスに返り咲くきっかけにしていこうと考えております。

大会の目玉はなんと言っても、海外から招待した3人の先生方です。
まず、Dr.Adham Azim先生は、従来『症状がなければ放っておいても良い』と考えられていたスルーアンドスルーリージョンについて、外科的歯内療法が失敗した場合の長期予後を考慮した治療法に高度な統計処理を施し、エビデンスを確立した先生です。まだ39歳という若さにもかかわらず、バッファロー大学とパシフィック大学の筆頭教授を歴任しており、2023年のAAEで人気No1の講演者でした。
DrAlan Atlas先生はペンシルバニア大学の予防修復科学講座臨床教授を務める傍ら、ペンシルバニアで補綴に特化したクリニックを開業されています。マージンの適合性、レジン充填の適合性など顕微鏡を使った修復措置のエビデンスを豊富にお持ちの先生で日本の先生方がすぐに診療で使えるような知識や技術を提供してくれるものと確信しております。
Dr.Shanon Patel先生はロンドンのキングスカレッジで教授をつとめられる傍ら、自らのクリニックも運営されております。様々な症例を統計分析した、システマティクレビューに特長があり、特に歯根外吸収のデータが豊富です。世界中の学会から『ひっぱりだこ』で国際学会の常連演者です。

参加者の皆さまには、これらの先生のエビデンス力の高さ、講演内容の客観性の高さを直に体感し、Something New を持ち帰っていただきたいと思っております。また、今回の学会では一般演題を分類して募集しようと考えております。単なる症例発表なのか、症例に統計処理を施したシステマティックレビューなのか、演者の方には発表する内容をしっかり事前に分類していただいてプログラムに反映していこうとしております。AAEをはじめとしたグローバル学会のやり方を踏襲しているのですが、こうすることで、参加者の皆さまに対し、事前の情報提供が可能となり、より学会を有意義に楽しんでいただけるのです。
2024年、20回目の日本顕微鏡歯科学会 学術大会・総会が日本の歯科の現在地を再確認するとともに飛躍の第一歩となれば幸いです。
皆様奮ってご参加ください!