日本顕微鏡歯科学会 2021年 第4回歯科衛生士セミナー

 2021年10月31日 JAMD第4回歯科衛生士セミナー『マイクロDHのラーニングカーブ(学習曲線)』が東京都神田メディカル・データ・ビジョン内とwebにてハイブリッド開催された。マイクロスコープで既にキャリアを積んでいる4名の演者が、過去に経験した自身の悩みや壁をどのように乗り越えステップアップしたのかを講演頂いた。今回は導入期、成長期、構築期、成熟期のラーニングステージに分けての講演のため現在マイクロスコープを使用している衛生士だけでなくこれから使用したいと考えている衛生士まで、幅広い衛生士の疑問や不安を払拭する糸口になると期待が高まった。

 導入期は、新百合ヶ丘1000のバイオリン歯科勤務の冨岡祥子さん。マイクロスコープ導入期は毎日触ることが大切。200時間の訓練で使いこなせるようになるとのことで、200時間達成モデルコースと実際に行った訓練メニューを語られた。訓練はステップ①口腔内診査、ステップ②OHI、ステップ③スケーリングと徐々に難易度を上げながら習得することで、最終的に患者に対しストーリー性のある動画を撮る技術を身につけることができる。

 成長期は、覚王山プライベートデンタル勤務の伊藤美妃さん。実際の衛生士業務の中でマイクロスコープの有用性を最も感じるのはOHIとのこと。歯間ブラシのOHIではサイズの選択や動かし方に説得力のある説明がでる。歯ブラシのOHIでは鏡で死角になる部位も見せることが可能であると語った。またマキシラアングルの調整とヘッドローテーションを行うことで規格的でより患者の心に響く写真を撮ることができる。

 構築期は、ノアデンタルクリニック・ホワイトエッセンス勤務の加藤あゆ美さん。診療において3つ大切にしていることがあるとのこと。①『真実を伝える』はマイクロスコープを用いての精密な口腔内診査や各種検査を行うことで現状をしっかりと伝える。②『心に寄り添う』はしっかりと聴き取ることや口腔内の変化を楽しみながら、設定した未来像に向けて患者を行動変容へと導く。③『自立する』は患者が健康になって自立することに加え、自分やスタッフが各自の個人目標を達成して医院に貢献する。

 成熟期は、フリーランスの森田佳子さん。マイクロスコープで『きちんと見る』ことの大切さを語った。遠心、近心、歯肉縁上、歯肉縁下のどこが見たいのか。直視とミラー視どちらで見るのかによってポジショニングが変わる。『きちんと見る』ためには何をどのように見るのか常に考える必要があり、考える力を身に着けることが重要である。

 講演後の質疑応答では、質疑に対し演者は1つ1つ丁寧に応答してくれ、またざっくばらんなディスカッションで会場は和やかな雰囲気になった。

 今回の講演はどれも大変質が高く、多くの学びと刺激と受けた。私は、もっときれいに写真が撮りたい感動を与える動画を撮りたいと四苦八苦している。恐らく参加者の多くも同じ思いのはずである。マイクロスコープを覗いて練習をするのは孤独になりがちであるが、同じ悩みを持ち切磋琢磨している仲間がこんなにも大勢いるのだと実感できて嬉しく、そして励みになった。大きな会場で仲間たちと会える日が来ること強く願っている。  (文責:東京都・うめむら歯科医院 小宮純子)

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クリックすると拡大し、スライドします。(*集合写真、演者の講演時のみマスクは外しております。)

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