去る、2017年10月29日に山口県歯科医師会館にてJAMDサテライトセミナーが開催された。前日は本セミナーの幹事を引き受けて頂いた高井先生、開催にご協力頂いた多くの先生を交え、地元のフグ料理と日本酒に舌鼓を打ちながら、親睦を深めた。
セミナー講師は辻本恭久学会長と鈴木真名先生、吉田格事務長が務められました。
山口県歯科医師会の副会長の松浦先生の挨拶から始まり、今後検診に注目が集まることで国民の健康に寄与するだけでなく、医療費の削減にもつながると思われる。そこには顕微鏡歯科学会の目的にもある『顕微鏡を用いた高度で正確な診断』が役に立つことが予想され、今後のさらなる顕微鏡治療の普及を予感させるものでありました。
辻本先生からは今まで以上の患者と医師の信頼関係を取り戻すことに顕微鏡は有用である事、学会会員数も年々増えており、1300名程になるとの報告がありました。
吉田格先生からは『顕微鏡で広がる日常診療』と題して基礎的な部分を話して頂きました。プレゼンテーションの大切さ、顕微鏡使用にあたっての正しい姿勢、多くの器具の紹介があった。顕微鏡治療をしていると、予防の大切さがよくわかる。そのため、患者の協力を引き出す衛生士の役割は大きく、器具だけでなく、人材にほ投資する大切さを話されていました。
鈴木先生からはインプラント周囲組織のナネージメントについて、顕微鏡を用いないとできない繊細な処置を貴重な長期症例を通して説明頂いた。天然歯周囲組織とインプラント周囲組織の繊維組織の走行の違いから注意することと、結合組織の取り扱い、切開、縫合を動画を交えながら丁寧に講演して頂いた。
休憩時には6社と多くの協賛企業の展示が行われ、各社の顕微鏡や新しい根管拡大装置などデモや体験を通じて活発な意見交換が行われた。
午後は再び辻本先生にご登壇頂き、顕微鏡を用いた最新の歯内療法について講演頂いた。保険治療に入った4根管と樋状根の解剖と治療について、顕微鏡を使った大学での教育の改善、顕微鏡とNi-Ti、MTAの開発で大きく変わった歯内療法、歯根破折、ファイル除去など講演頂いた。
顕微鏡を使うには日常のトレーニングと多くの経験が大切であること、今回のような結合組織移植のような高度な外科処置は顕微鏡導入後すぐに行わず、切開、縫合の練習を積み重ねたり、ハンズオンに参加するなどアドバイスを頂いた。
参加者は地元山口はもとより、中国地方、九州、関西、関東から多くの会員、非会員が参加し顕微鏡の有意義なセミナーでありました。
また、セミナー開催日は台風の影響があり、関東から参加の会員は予定していた飛行機では羽田に帰れるかどうか分からないため、急遽新山口から新幹線に変更となりました。途中台風の影響もあり新幹線も遅れる中、長い時間も会員一同は症例検討や顕微鏡治療について意見交換をしながら有意義な帰路となりました。なお事前の集客から会場設営など地元山口の高井先生をはじめ多くの先生方、協賛企業の方々には深く感謝致します。
(文: 東京都開業 たねいち歯科戸田クリニック 戸田成紀) |